発生から8年を迎えた今年の3.11は、東日本大震災の犠牲となられた方たちへの献奏を各場所で行なうため被災地に滞在していた。
福島が抱える避難者5.2万人の問題を除けば、かつての被災地は建造・インフラなどほぼ復興したと言えよう。しかし、現地の方々からは「8年経っても心に負った傷は何も癒えていない」という声、「皆の関心が薄れてしまった」ことを嘆かれる声、「たくさんの人に現地に来て欲しい」という声がたくさん聞かれる。“連帯”がUNESCOの大きなスローガンであるように、目に見える復興とは裏腹に、3.11直前だけではない皆が心をいつも寄せている連帯意識を僕らは持ち続けるべきであると感じる。
さて3.11の現地は大変な天候となった。台風のような嵐の中14:46のサイレンと同時に長安寺の住職が突かれる「勿忘の鐘」と共に僕は本堂にて本尊に向かい献奏させていただく。この天候は犠牲者の無念さを形象しているに違いない。翌12日は晴天になったものの奇跡の一本松で献奏し終えた瞬間、太陽が出ているのになぜか霧雨が舞い、すぐに止んだ。献奏の音が“確かにこちらに届いた”と御霊が涙で教えてくださったのかもしれない。
大船渡ユネスコ協会さんの協力のもと11日と12日の2日間、計8カ所で献奏を行なえた。献奏は支援とはまた別物であるが、1万数千の犠牲になられた方々へ演奏家としてできるせめてもの弔いであり、目に見えるものでなくともどれほど大切なことであるか、いつも身に染みている。