パリ→クレモナ→パリの行程を終え帰国。5本のコンサートに加え、パリ・UNESCO本部での「ホロコースト犠牲者を想起する国際デー」の追悼式典に招かれ出席してきた。
強制収容所を実際に体験し、そこから生還した方たちとは20年ほど前から会う機会があった。今回も生還者が出席していたが彼らと接するといつも、言葉や身体から放たれる波動に心は痛み、身につまされる。
いよいよホロコーストの証言者も少なくなり、生の声に耳を傾ける機会もなくなろうとしている現代では、新たな取り組みが教育の現場では求められている。若者や子どもたちには、語り継がれる反省からの抑止力だけではなく、どのようにしたら危険な思想や集団を生み出さないようにできるかということに重点が置かれ始めた。
新たに就任したMs. Azoulay, UNESCO事務局長と会うことができた。アズレ氏は「たとえ小さな危険分子でも全体に及ぼす『悪の感染』が最も恐ろしい」と語っていた。
政治思想であれ宗教思想であれ、各々が自分たちの正義を掲げる。僕が感じるのはそれら正義の中で、果たして真の正義となり得るのは何なのか、それを見極めていけば間違った正義による洗脳も少しは防げるに違いない。社会に対する不満を持ち困難な状況にあるとき、それを解決してくれるだけの潮流に乗ってしまうのは安易であると思う。
今回ひとつのコンサートでは、素晴らしい若きチェリスト・宇野健太君と再び共演できたことがとても嬉しく、また良い刺激になった。
今回も御世話になった山田大使を始めとするユネスコ日本政府代表部の皆様、そして20年来担当してくださっているUNESCO事務局, Mr. Pashayevにこの場を借り御礼申し上げます。
ソフトパワーである音楽の力が発揮されるよう、生きる者全ての心に届いてくれる音を追求してこれからも演奏します。