数日後パリのUNESCO本部で開催される親善大使と平和芸術家による会議。昨年はコンサートとぶつかり欠席せざるを得なかった為、今年こそはと出席に備えて会議での議論や提言内容など構想をまとめていた。また会議数日前にはパリに入り、友人のコンサートに行ったり、店や図書館で楽譜を探したりと計画を立てていた。しかし事情は変わった。僕は7月6日に演奏するひとつの作品とひたすら向き合うため、会議を含め明日からのパリでのすべての予定を取り止めた。その曲のピアノパートも含めもちろんすべての音符が身体に入り演奏としては出来上がっているが、いまだに自分の作る世界観に納得がいかない。一箇所たったひとつの音に一昨日昨日と2日を費やし、そして今日もまだ答えが出ない。とても重要な会議ではあるが今回はこの1曲の演奏を優先させたい。「ヴァイオリンのためのソナチネ」、演奏時間約8分50秒。この530秒に僕は全身全霊を傾けて臨む。